男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される


「でも、どうしたら……」
「お前は何も感じないか?」
「え?」

 潜めた声で訊かれ、もう一度その顔を見上げる。

「もし今魔女が何か術をかけていたとして、お前なら何かわかるのではないか?」

 私は再び真っ暗な森の中を見回し、首を横に振った。

「何も……」
「そうか」

 落胆したようなラディスの声。

 ……何も、出来なかった。
 初めての任務に浮かれて意気揚々とここまで来て、いきなり馬と仲間が4人も消えてしまった。
 自分なら何か出来ると思ったのに、何も出来なかった。

(このままみんな戻ってこなかったら、どうしよう……)

 イリアスの笑顔がふいに浮かんで、私は一度強く頭を振ってからラディスを見た。

「オレ、やっぱり空から見てくる。絶対みんなまだ近くにいるはずだろ」