男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される


「え?」
「逆襲って」
「いや、ほら、魔女は皆から忌避される存在だろ? だから、その仕返しというか……そんな可能性もあるのかなって、思っただけなんだけど」

 少しの沈黙のあとでラディスが言った。

「だとしたら、俺たちはそんな奴らのテリトリーに自ら飛び込んでしまったことになるな」

 ごくりと誰かが生唾を呑み込む音が聞こえた。

 と、そのときロドニーさんが徐に立ち上がった。

「俺、ちょっと用足しに……」
「今ひとりで行動するな」
「あ、じゃあ俺も一緒に行きます」

 ラディスに言われハウリーさんが立ち上がった。
 そうして先輩ふたりはその場を離れていった。

(大丈夫かな……)

 このまま戻って来ないなんてことないよな、と少し心配していると程なくしてふたりとも戻ってきてほっとする。

 そのとき私はとあることを思いついてラディスに視線を送った。
 ラディスはすぐに私の視線に気付いてくれて、私はそのタイミングで立ち上がる。

「オレもちょっと行ってきます」
「なら俺も行こう」

 すぐさまラディスが立ち上がってくれて、私の合図が伝わったのだとわかった。
 イリアスが起き上がって私を心配そうに見上げた。

「気を付けろよ」
「ああ」

 頷き、私たちはその場を離れた。