誰かひとりでもこの場に残っていれば……そう考えてしまったが、団長であるラディスの前でそんなことは言えなかった。
それに、その残ったひとりも消えてしまっていた可能性だってある。
「みんな無事だといいけど」
「きっと大丈夫だろ」
隣で横になっていたイリアスがこちらを見ていた。
「ほら、例の噂」
「噂?」
「そ、気付いたら別の場所にいたってやつ。きっと馬たちもひょっこり戻って来るさ」
「……そう、だよな」
そうならいいと思った。
イリアスはそんな私に微笑んだあと視線を空に投げた。
「そもそも魔女はなんで俺たち騎士を狙ったんだろうな」
「え?」
「バラノスの騎士団もやられたんだろ?」
「それは……やっぱ国の戦力を削ぐためだろ」
「なんのために?」
「なんのためにって……」
私に訊かれても困ってしまう。
口ごもっていると、イリアスはそのまま続けた。
「うちの騎士団だけだったらバラノスに雇われたんだろうなって想像つくけどさ。両方だぜ?」
「うーん……魔女たちの逆襲、とか?」
冗談交じりに言うと、イリアスだけじゃなく皆が驚いたように私を見た。



