「ここで、間違いないよな……?」
「間違えるわけないだろ。ちゃんとそこに目印あんし」
私の問いにイリアスが指差した先には確かに拠点の目印にと木の枝にくくり付けていた紐がぶら下がっていた。
森の中も迷わないようにとあれと同じ紐を結びながら進んでいたのだ。
だからやっぱり場所はここで間違いない。
なのにこの場に繋いでいた馬だけがこの場からいなくなったのだ。
「野盗どもか……?」
イリアスの言葉に「まさか!」と私は声を上げる。
「あのイェラーキがそんな簡単に連れ去られるわけないだろ」
そうだ。野盗などの“ならず者”の仕業だったとして、気性の荒いイェラーキがただで連れ去られるとは思えない。
しかしこの場で何か騒ぎがあったような形跡は見当たらない。
「だったら」
「魔女の仕業か」
イリアスの言葉に被るように、ラディスが緑の天井を見上げながら言った。
「俺たちは見られているのかもしれんな」
(見られてる……?)
ぞくりと背筋が冷たくなって私も思わず辺りを見回していた。



