男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される



「馬で行けるのはここまでだな」

 そうため息混じりに言って、ラディスはイェラーキから降りた。
 前方を見るが、確かにもう馬で進めるような道はなさそうだ。
 私たちは全員馬から降り、その場の木の幹に馬たちを繋いだ。

「ここを拠点に少しずつ調査を進めていくことにする。ここはもう件の森の中だ。油断はするな」
「はっ!」

 そうして馬たちが運んでくれていた荷物から必要最低限のものだけを持って、私たちはその鬱蒼とした森の中へと足を踏み入れた。


 その森の中はとても静かだった。
 まだ日は高いところにあるが、天井を覆うような深い緑のせいで中は薄暗い。
 足元をよく見ていないと縦横無尽に張り巡らされた太い根っこで躓いてしまいそうで片時も気が抜けなかった。