男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される


 そんな会話を思い出していると。

「トーラ」

 背後から低く声がかかって私は振り返る。

「なんだ?」
「お前も、何か異変に気付いたらすぐに知らせろ。どんな些細なことでもいい」
「え?」
「先日の呪いのように、もしかしたらお前にしか見えないような異変もあるかもしれない」

 確かに、この間のあの気持ちの悪いモヤみたいなものは私にしか見えていなかった。

「わ、わかった」

 しっかりと頷いで、ついでに城を出てからずっと考えていたことを話してみることにした。

「最悪何も見つからなかったさ、オレが空から探すって手もあるからな」

 そう、私なら空を飛んで上空から森の中を探索することも出来るのだ。
 もし本当に魔女たちの集落があるのなら、空からなら発見出来るかもしれない。
 勿論、イリアスや先輩騎士たちにはバレないよう隠れて行動することにはなるけれど。

 するとラディスは少し眉を顰めたあとで答えた。

「……そうだな。最悪の場合は頼むかもしれん」
「ああ!」

 この力が役に立てるのは普通に嬉しい。
 私は笑顔で返事をしてまた前を向いた。