どうやら事実らしく何も言えなくなっているとラディスは溜息交じりに続けた。
「安心しろ。何もしていない」
「あ、当たり前だ!」
「何もしなかったことをむしろ褒めて欲しいくらいだ」
「褒めるか! 今は任務中なんだぞ!?」
「ほお? では任務中でなかったら良かったのか?」
「そ、それは……」
じっと見つめられて、じわじわと顔が熱くなってくる。
と、ラディスはふぅと小さく息を吐いて私から視線を外した。
「まあいい。ちなみに宿に泊まるのはこれで最後だ」
「えっ」
「あとは魔女の森まで野宿になるからな。しっかりとした食事もここでの朝食が最後だ。しっかり食べておけ」
「わ、わかった」
私は心して返事をした。
「俺は先に下に行っている。イェラーキの様子も見てきたいからな」
「わかった。私も急いで支度する」
そうしてまずはトーラの姿に変身すると、それを見てからラディスは部屋を出て行った。
「……」
ひとりになって、すぐに私は頭を抱えた。
(抱きついたって、私マジで何やってんだよ〜〜!)



