男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される


 朝の光を感じてゆっくりと意識が浮上していく。

(もう朝か……)

 何か、とても良い夢を見ていた気がする。その余韻がまだ残っている。

 ……そうだ。
 ゲーセンのクレーンゲームでイェラーキに似た大きな馬のぬいぐるみを見つけて、絶対に欲しくて、何度も何度も挑戦してやっとゲット出来て大喜びする夢だ。
 ゲーセンなんてもう何年も行っていないのに。可笑しな夢を見たものだ。
 ここはゲーセンなんてない異世界で、私は騎士見習いで、今は大事な任務中なのに。

(……起きなきゃ)

 そう思いながらもまだ眠くてなかなか瞼が上がらない。
 とりあえず寝返りを打とうとして。

(……?)

 身体が動かないことに気づく。
 何かに包まれているような感覚を覚え、なんとか目を開けて。

(は?)

 眼前にラディスの顔があった。
 彼はまだ目を瞑ったまま静かに寝息を立てていて。

(な、な、なっ)

 私は彼にしっかりと抱きしめられていたのだ。

「なんでだよ!」