「俺は先に部屋に戻る。適当にやっていろ。ただし、あまり呑み過ぎるなよ」
「はっ! おやすみなさい!」
先輩騎士がそう挨拶をしてラディスが2階へと消えて行き私は小さく息を吐いた。
「団長と同室は緊張するだろ?」
「えっ」
向かいに座っている既に赤ら顔の先輩騎士に言われ驚く。
「正直俺じゃなくて良かったってホッとしてるんだ」
「俺も俺も」
そう小さく言ってから先輩騎士たちは豪快に笑った。
(そういや冷徹騎士団長って言われてるのをすっかり忘れてたな)
ハハハと一緒に苦笑していると、イリアスが心配そうに私に言った。
「俺、部屋変わってやろうか?」
「えっ! いやいや、大丈夫。一晩だけだし、すぐ寝ちまえば問題ない!」
ラディスとイリアスが同じ部屋なんて、なんとなく嫌な予感しかしない。
「そうか?」
「ああ。ありがとな!」
そうして私はもう少しだけ料理を口にしてから部屋に戻ることにした。
なら俺も、とイリアスもそれについて来る。
先輩騎士たちはもう少し呑んでから寝るそうだ。
「んじゃ、また明日な」
「おやすみ」
イリアスと手前の部屋で別れ、私は奥の部屋へと向かう。
(もし次何かあったら聖女の力使って逃げ出そ)
そんなことを考えていたが、部屋に入って私は拍子抜けする。
ラディスは既にベッドに入っておやすみ中だったのだ。
(なんだよ……まったく)
ふぅと溜息を吐いて、私は自分のベッドにいき腰を下ろした。
向こうを向いてしまっていてその寝顔は見れないが、彼もきっと疲れているのだろう。
「……私も寝よ」
そう小さく呟いて、私は簡単に寝る支度をしてからベッドに横になった。
明日もイェラーキに乗って長時間の移動になるのだろう。
しっかり睡眠を取らなければと私は目を閉じた。



