私は慌ててその胸を押し返しながら言う。
「お前が訊くから答えただけだろ!? ってか、食堂行くんじゃないのかよ!」
「別にあとでもいい」
簡単に両腕をベッドに押さえ込まれ、その凛々しい顔が近づいてくる。
「いやいやいや、てか、私、や、オレ、今男だぞ! いいのか!?」
「男の姿をしていてもお前はお前だろう、藤花」
「!?」
嘘だろと思いながらその深い緑が間近に迫ってぎゅうと目を瞑った、そのときだ。
トントンっとドアがノックされて、ふっと押さえ込まれていた手が緩んだ。
その隙を逃さず、私は後ろに這うようにして彼の下から脱出することに成功した。
「団長、俺ら先に食堂行って席を取っておきますので」
先輩騎士の声だ。
ナイスタイミング! と私はその先輩に盛大に感謝した。
「ああ、頼む」
ラディスは溜息交じりに起き上がり、そうドアの向こうへ返事した。
そんな彼をベッド越しに睨みつけていると、彼は言った。
「冗談だ。そう警戒するな」
そうしてくるりと私に背を向けた。
「俺たちも行くぞ」
そのまま何事もなかったかのようにドアの方へ向かうラディスを見て、私はわなわなと震える。
(じょ、冗談だって……今のが!?)
あんなマジな目をしておいて、冗談!?
(警戒するなって方が無理だろ!)
心の中で私はそう叫んでいた。



