これが夢だったらどんなによかっただろうか。
後ろでまとめられている手首をぎちぎちと動かしてみるも、皮膚に結束バンドが食い込んで痛みが激しくなるばかりだった。
「ほら、痛くなるから動かすなって」
「じゃあ、外してほしい、です」
「俺がそれを聞き入れるとでも思っているなら、お前は本当に馬鹿だな」
もう、彼に何を言っても無駄なのかもしれない。私は津波のように押し寄せる絶望感と無力感を受け止めきれずに、必死になって、助けてください、と彼に懇願する。
けれど彼には、何も響かない。綾人くんはつまらなそうな顔をしながら、私の声がまるで耳に入っていないかのように、遠くをぼうっと眺めていた。
「綾人くん!」
すこしだけ大きめの声を出すと、彼はすこしだけ驚いたような顔をしたが、すぐにああ、と言って、私の身体に腕を回した。
彼は私の身体の向きをすこし変えてから、私をそっと抱き起こした。彼にされるがままにベッドの上に座らせられる私は、まるで彼のおもちゃみたいで、ますます自分が情けなくなる。
彼が何を思って、何のために私にこんなことをしているのかが全くわからなかった。彼は、私を守るため、だなんて言っていたけれど、これじゃあ危険なのは綾人くんの方だ。


