一瞬、理解が追い付かなかった。
そもそも、私は服を着ていなかった。かろうじて下着だけはつけられているけれども、眠る前までに着ていたはずの依央のジャージはいつの間にか消え去っている。
足を伸ばしてみると、両足首がまとめて結束バンドで固定されているのが見えた。さらに、直接目で見ることはできなかったけれど、両手首も後ろ手で、同じように結束バンドで固定されているようだった。
起き上がろうとしても、自分の力では起き上がることができなかった。私はパニックになってしまい、身体を前後に揺らしながら何とか拘束からの脱出を試みるが、そんな行為は何の意味もなさなかった。
「ほら、落ち着けって」
綾人くんが私の腕に触れながら、優しく問いかけてくる。彼に無理やり薬を飲まされたときの記憶が蘇って、私は全力で身を引いた。
「何で……」
「何でって、何が?」
彼は私の前にしゃがみ込みながら、目線を私に合わせてくる。恐怖に身体が支配されて、何もできなくなる。いや、この状態ではどちらにせよ何もできないのだが。
「俺は、お前を守りたいだけなんだよ」
俺の言ってること、お前ならわかってくれるよな、と寂しそうな顔をして言う彼に対して、私は何も言い返すことができなかった。


