性、喰らう夢




「いつも、嫌な夢を見るの」



 だから、嫌だよ、怖いの、と何度も訴えるけれども、私の願いは叶うことなく、どんどんと思考が鈍くなっていく。綾人くんは私を優しく抱き寄せながら、大丈夫だから、と言って私の頭を撫でている。

 大丈夫じゃないのだ。苦しくてたまらない。どうして綾人くんは、こういう時に限って私を痛めつけてくれないのだろうか。いつもみたいに私の肩を思い切り噛んでくれたら、私の意識は保たれるかもしれないのに。


 彼は私にこんなことをして、何をしたいのだろうか。綾人くんに対する不信感が募ってくるけれど、こんな状態で抵抗なんかできそうにない。


 綾人くんは私を抱きしめたまま、そのまま私ごとベッドに倒れこんだ。生徒会室のソファーよりもずいぶんと柔らかいマットレスが、私たちを迎え入れる。

 それがあり得ないほどに心地よく感じてしまうのは、きっと私の身体が眠りたがっているからなのだろう。



「大丈夫だから、お前はもう何も心配しなくていいよ」



 あとは全部、俺が何とかするから、と言って綾人くんは私の身体に毛布をかけた。


 私の意識はいとも簡単に、深い夢の中に沈んでしまった。意識を手放す直前に見た綾人くんの表情は、視界が霞んでいて読み取ることができなかった。