「お前、本当に大丈夫か」
事を終えてからしばらくして、綾人くんがコップに飲み物を入れて、こちらに戻って来た。シーツを掴んで、ぼうっと宙を見上げる私を見て、彼は優しく私の頭を撫でた。
慣れていないような手つきだった。当たり前だ。彼が私の頭をまともに撫でてくれたことなんて、ほとんどなかったのだから。
彼はコップを私の手に持たせた。部屋が暗くて何が入っているのかはよくわからなかったが、おおかたお茶とか、そういったものが入っているみたいだった。
ありがとう、とそれを受け取ったはいいものの、あまりにも疲れていて、私はコップを両手で持ったまま、さらにぼうっとしてしまう。
そんな私を見かねたのか、綾人くんが私の手からコップを奪い返した。そして、コップの液体を自分の口に含めて、そのまま彼は、私に顔を近づけてくる。
あ、と思ったときにはもう遅かった。彼の唇はすでに私の唇に重なっている。そして彼は私の口の中に、自分の口に含めた液体を少しずつ流し込んでくる。
そして、突如、違和感を覚えた。
それに気付いて、彼の肩を押しのけようとしたが、彼はそれを許してくれなかった。
彼は私をベッドに押し倒して、私の鼻を押さえながら、私の口内にそれを全て流し込んだ。
息をすることが許されないその状況で、私はいとも簡単に、彼から口移しされた苦い液体を飲み込んでしまったのだ。


