性、喰らう夢




 滅茶苦茶な行為だった。

 私は多分ずっと泣いていて、綾人くんはずっと、そんな私を見ながら苦しそうな顔をしていた。

 けれど、彼に掻き抱かれる私の身体はあまりにも熱かったような気がする。彼は何度も私に口づけを落としたし、私は何度も彼を抱きしめた。


 途中、私は綾人くんの肩に噛みついた。いつもの彼なら、私が彼の身体に噛み跡をつけるのを嫌がっていたはずなのに、今日だけは何も言わず、むしろ歯を立てる私の頭を撫でてくれた。

 暗くて湿っぽい部屋の中で、私たちの息だけが聞こえる。



「お前、大丈夫?」



 疲れて動けなくなった私を見て、彼はさすがに心配してくれたみたいだった。何とか首を縦に振ると、彼はもう一度私の唇に自分の唇を重ねて、そのまま深いところまで私を突き落とした。

 ふたりの汗が混ざり合う。不思議と不快じゃない。このまま溶けてなくなってしまいたいとも思った。






 ひとしきりの儀式を終えて、ベッドの上にだらしなく横たわる私をよそに、綾人くんはすぐに服を着て、キッチンの方に行ってしまった。

 全身の至る所が痛かった。全部、綾人くんのせいだった。


 腕にも、背中にも、肩にも、首にも、彼の感触が全部残っている。学校で女の子たちから受けた暴力の感触をきれいに上書きするような、そんな力強さのある行為だった。

 向こう側から、綾人くんが立てている物音が聞こえてくる。けれどあまりにも身体に疲労が溜まっていて、私はその場から動くことができなかった。