「あのさあ、制服がどうしたわけ?」
「だから、着れなくなっちゃって」
そこまで言うと、綾人くんは何かに気付いたような顔をした。
「お前の制服がどうなった?」
「あの、カッターで切られて……」
震えながらそう言うと、彼はさらに怪訝そうな顔をした。そして、彼もベッドに上がって、私の正面に座った。
「へえ、そういうこと」
彼は私の右手を取った。昼休みに女の子たちから踏みつけられたことによってできた擦り傷を、綾人くんは指で優しくなぞっている。
「何された? 今日は」
言いたくないです、と声を絞り出した。自分が恥ずかしくて、情けなくなる。けれど彼は私に反抗されたのが気に食わなかったのか、彼はそのまま私を抱き寄せて、依央のジャージの上から私の肩を思い切り噛んだ。
「言わないと、俺、イライラしてお前のこと殺しちゃうかも」
私の肩から顔を離した綾人くんは、私の耳元でそんな物騒なことを囁いた。私は目に涙を溜めて、言葉を詰まらせながらも、今日起こったことをひとつひとつ話した。それ以外になす術がなかったからだ。
昼休みにまた、同じ女の子たちから性的な嫌がらせに遭ったこと、同じクラスの人が助けてくれてジャージを貸してくれたこと、そして夏目先輩が、嫌がらせを陰で扇動していたらしいということ。そんなことを、表現をすこしぼかしながら、ぽつりぽつりと彼に話していく。
綾人くんは時折目をつむりながら、私の話を黙って聞いていた。


