ブランケットを棚の中に仕舞った夏目先輩は、もう一度私のところにやってきて、乱れた髪を直してくれた。
「男の子に会うなら、髪の毛くらい、ちゃんとした方が良いんじゃない?」
夏目先輩はいつもよりも丁寧に、私の髪の毛を整えた。私はぼうっとしながら、先輩の手の感触を頭皮越しに感じていた。
ほら、できたよ、と言って先輩は、最後に私の頭をぽんぽんと叩く。私はやっと意識がはっきりとしてきて、早く行かないと綾人くんの機嫌を損ねてしまう、と焦りが生まれた。
それと同時に、夏目先輩に対する不信感が寝ても覚めてもやはり鮮明に残されていたので、私は急いで自分の荷物を手に取った。
「あの、えっと……」
「別に良いよ。行きなよ。あと、さっきのことだけど」
先輩は入り口まで私を見送りながら言った。
「できれば、きみからの良い返事を期待して待ってるよ」
いつものように柔らかい表情をしてみせる夏目先輩を見ると、本当に彼が私への嫌がらせを扇動していたのかどうか、なおのこと信じられなくなる。
けれど、眠る前に夏目先輩と交わしたあの会話は現実のものだった。それが苦しくて、私は唇を噛みながら、何も言わずに生徒会室を後にした。
もう、ここには眠りに来れないな、と思った。


