夏目先輩によってソファーに仰向けに倒された私は、起き上がろうと試みるも、彼はそれを許してくれなかった。
先輩が片腕で私の両肩をがっちりと押さえていて、私は上体を動かすことができなかった。
「何ですか、それ、本当に先輩が」
目の前にいる先輩に対して必死にそう問いかけると、先輩は何でもないような顔をして笑った。
「ほら、ここでは余計なことは考えないって、僕ときみで交わした取り決めだよ。」
「だって」
「余計なことを言ったら、この前みたいに無理やりきみにキスしちゃうかもしれないよ? それに前はあれだけで止めてあげたけど、今の僕はちょっと機嫌が悪いから、キスだけで止めてあげられる保証はないしね」
ほら、目を閉じて、と言って、夏目先輩は私の顔に空いていた手を当てて、私の瞼をゆっくりと下ろした。
その瞬間、意識が朦朧としてくるのを感じた。眠りたくないのに、先輩の手の温かさと、いつものソファーの感覚がそれを許してくれない。
「きみの身体、あったかくなってきた。眠くなってきたんだね」
「嫌……」
「何が嫌なの? 今日だって、嫌がらせを受けたから僕のところに眠りに来てくれたんだろう?」
いい子だね、と先輩は私に優しく問いかける。


