夏目先輩と祥平との関係をどう話そうか、少しだけ悩んだ。別に、どちらかと付き合っているという訳でもないし、私がふたりのどちらかに対して特別な感情を抱いている訳でもない。
けれど、依央からしたらやっぱりすこし、おかしく見えるのかもしれない。けれどこれ以上話を拗れさせないようにするためには、ここで全部、包み隠さず話すのが良いのだろうか。
「多分、びっくりする気がする」
「俺が?」
うん、と頷くと、彼はふうんと鼻を鳴らしながら、腕を組んだ。
「まあでも、さっきの光景よりはびっくりしない気がするけど」
ほらさっき、とんでもないもの見ちゃったし、と彼は苦笑いを浮かべて見せた。
確かにそうかもしれない、と思うと、少しだけ気が楽になった。私は誤解のないように、ひとつひとつ言葉を選びながら、依央に彼らのことを説明した。
食事と睡眠が自分の意思でうまくとれないということ、
祥平と一緒ならご飯が食べられるということ、
夏目先輩と一緒なら怖い夢を見ずに安心して眠れること、
家庭環境のこと、
嫌がらせを受けると夏目先輩に会いたくなること、
そして、実は他校の男の子ともう一つの欲を満たしていること、
けれど彼らの誰かと特別に交際関係を持っているわけではないこと。
そんな、私をとりまく3人との、奇特で曖昧な関係性を、全て包み隠さず依央に話した。彼は頷きながら、そして時々目をつむりながら、私の言葉に耳を傾けていた。


