少し先に行ったところにある私立高校の小綺麗な制服に身を包んだ綾人くんは、私を見下ろしながらこちらに近づいてきた。
「お前、何で連絡返さなかったんだよ」
え、と思って鞄の中からスマホを取り出す。夏目先輩のところで眠っていたので気が付かなかったが、確かに通知欄には綾人くんからのメッセージが数件、届いていた。
「あ、ごめんなさい。気が付かなくて……」
彼が不機嫌になるのではないかと思って、すこし身構える。けれど綾人くんは、あっそ、とぶっきらぼうに言って、そのまま私の隣に来た。どうやら怒ってはいないらしい。
「まあいいや。今から帰るから、お前も来て」
有無を言わさぬような物言いは相変わらずだった。特に断る理由もないので、私はわかった、と頷きながら、彼と一緒に歩き出した。
彼は黙ったまま、早足で歩いていく。昼休みに女の子たちにローファーで強く踏まれた足首が、ずきずきと痛みだした。
すこしだけそのまま歩き続けたが、そのうち私は彼の歩みのペースについていけなくなり、思わず彼の腕にしがみついて、彼を止めた。
「待って、綾人くん」
「……何」
「足、痛くて。もう少しゆっくり歩きたい」
顔を歪めながら彼に訴えると、彼は眉をひそめて怪訝そうな表情を浮かべたけれど、綾人くんは黙って歩くペースを遅くしてくれた。


