「一応聞いておくけど、祥平って子は、きみのことが好きなの?」
「好きか嫌いかでいったら、好かれてるとは思います」
そうなんだ、と言いながら先輩は腕を組んだ。先輩の視線は宙をさまよっている。
「じゃあ、きみの方はどうなの?」
「……祥平は、いなくなったら困るひとです」
「へえ、羨ましいな。きみにそう言ってもらえるなんて」
先輩はもう一度私の顔を見た。そんなことを聞いて、先輩はどうするつもりなのだろうか。
「でも、それって夏目先輩も一緒ですけど」
「僕と祥平って、同じ扱いなの?」
「全く同じってわけじゃあ、ないですけど」
「その言葉は、肯定と解釈して良いんだよね?」
黙って頷くと、先輩はふうん、と鼻を鳴らした。先輩は微笑を含んだ何とも形容しがたい表情を顔に貼り付けていたので、彼の本心が全くわからなかった。
先輩は立ち上がって、ブランケットを広げた。私はそれをみて、ソファーに横になった。ふわり、といつものようにブランケットが身体にかけられる。
「まあいいや。色々あっただろうけど、ここで眠っている間は余計な事は何も考えないで、ただ休んでいたら良いよ」
僕がきみのことを襲わない限り、ここは安全が担保されているでしょ、と先輩は自嘲気味に笑った。黙って頷くと、先輩は満足そうな顔をして、いつものように私の額にキスを落とす。
額に当たる先輩の唇の感触と、私の体重と共に沈んでいくソファの感覚、そしてブランケットの中で生まれる熱が、私をやさしく包み込んだ。
「じゃあ、おやすみ」


