「別にそんなの、言葉のあやだよ。きみが僕のところに来て、助けてほしいって縋ってくれるなら、何とでもしてあげるよ。それくらいのこと」
でもきみって、それを必要としてないでしょ?
そう言って先輩は、目を細めた。
「考えておきます」
「うん、好きにして良いよ」
夏目先輩は立ち上がって、棚の中から黒いブランケットを取り出した。それを持ちながら先輩はこちらにやってきて、私の隣にどかりと腰を下ろす。
「夏目先輩」
「ん、どうしたの?」
「私、どうしたら良いと思いますか」
背もたれに軽く背中を預けながら先輩にそう問いかけると、先輩は、うーん、とか言いながら、私の髪の毛を一束取って、それを指先でくるくると弄り始めた。
「彼女たちが言うように、その、祥平とかいう奴と会うのをやめたら良いんじゃない?」
やっぱり夏目先輩もそう思うのだろうか。別に私と祥平は特別な関係にあるわけでもないのに、どうしてそこまでしなければならないのだろうか。
別に祥平のことが好きというわけでもないが、祥平と会えなくなるのは正直困る。彼と一緒じゃないと、満たせない欲があるのだ。
私は夏目先輩の言葉を聞いて、唇を噛んだ。夏目先輩は心底つまらなそうな顔をして、私の髪の毛から手を離した。


