性、喰らう夢




 言われるがままに、保健室の利用者ボードに名前と日付、そしてクラスを記入すると、先生はすんなりと私をベッドに寝かせてくれた。

 仕切りのカーテンが閉められて、私は真っ白い布団に身を包む。暖かくて気持ちいいけれど、眠れるわけではないので、私はベッドの中でそっとスマホを取り出した。



<夏目先輩、今日もそっち行きたいです>



 私が送ったメッセージには、すぐに既読がついた。夏目先輩はいつも返信が早い。ずっとスマホに張り付いているんじゃないかって、野暮な想像をしてしまうくらいだ。



<この前来たばかりなのに、珍しいね。嫌なことでもあった?>



 夏目先輩はいつもの調子で、そんな文面を送ってきた。その文字列を見ていると、先輩の声が聞こえてくるような気がした。

 私は、音を立てないようにスマホに指を滑らせる。



<そんな感じです>

<そう。じゃあ今日も、生徒会室で待ってるよ>



 最後のメッセージに既読をつけて、私はそっとスマホを閉じた。身体は疲れているのに、頭はなぜかずっと冴えている。心臓がばくばくと脈打っていて、嫌な感じがした。

 早く夏目先輩のところに行って、心も体も休ませたかった。どうせここに居たって、眠れもしないし、余計なことばかりを考えてしまう。


 微量の息苦しさを感じながら、私は時計の針の音に意識を向けた。