性、喰らう夢




「僕はねえ、きみのことが好きなの。それはもう良いよね?」



 夏目先輩が私に優しく問いかけてきた。

 全然良くはないのだが、とりあえず頷いておく。



「どうやらきみは、嫌なことがあると僕のところに眠りに来てくれるらしくてね。好きな子をいじめたくなっちゃうような幼稚な小学生だった僕は、高校生にもなって、きみのことをいじめたくなってしまったわけ」

「……そんなことは別に良いんです。須藤さんのことを教えてください」

「急かさないでよ」



 夏目先輩が手足を組んで、椅子の背もたれに深く体重を乗せた。



「祥平と別れて傷心だったマナに近付いたのは僕の方からだよ。ちょろかったな。丸腰でここに来てくれたんだから」

「そんな……」

「マナがここに来たのは合意の上だよ。そこのソファーの上に座ってくれたのもね。その先はどうだったか、あいにく覚えてはいないけれど」



 夏目先輩がへらへらとした口調で、私がいつも眠りに沈んでいるソファーを指差した。



「……それで」

「あとは想像の通りさ。マナがあまりにも可愛いものだから、っていうのはさすがに冗談だけど、とにかくマナのそういう姿を動画に撮って、それをダシにして僕がマナを脅して、きみをいじめさせていたのは確かだよ」



 夏目先輩は腕を組み直しながら、つまらなそうな顔をして私と依央の顔を見た。



「んで、きみたちは僕をどうしたいの?」