性、喰らう夢







 人から雑に揺さぶられている感覚がして、ゆっくりと目を開けようとすると、あまりにも重い瞼の感覚のせいで、まるで金縛りにあったかのような心持ちになる。

 私を起こそうとしているのは、多分、夏目先輩じゃない。あのひとならもっと、魔法を解くかのように、自然に私を眠りから目覚めさせてくれるはずだ。

 じゃあ、一体誰が。

 そんな疑問を晴らすためだけに、私は渾身の力を振り絞って、瞼を持ち上げた。



「おい、しっかりしろ」



 その相手の声がはっきりと明瞭に聞こえてくる。

 ずっと瞼をおろしていたせいか、目がひどく乾燥していて、私は瞬きを何度も繰り返した。



「私……」

「大丈夫だから、起き上がれるか?」



 朦朧とした意識と現実の狭間で、私を助けてくれるあのひとの声がする。



「依央、どうしよう。頭がぼうっとするの」

「ああ、わかってる。でも一旦、ここから出よう」



 依央の手が背中にまわる感覚がする。祥平ほど優しくはないし、夏目先輩ほど暖かくはないし、綾人くんほど無機質ではない。けれど、そのごつごつとした感触の中には、確かな安心感が内在しているような、そんな感覚がした。

 すこしずつ、世界に輪郭が生まれてくる。私は依央にしがみつきながら、そんな視界の変化をただひたすらに静観していた。