私は何度か、パスワードの入力を試してみたが、すべてうまくいかなかった。4桁の数字を片っ端から試していくのは途方もない時間がかかりそうだし、第一、パスコードを間違いすぎるとロックがかかってしまう。
もう、思いつく限りの数字はすべて試した後だったので、私は困り果てた。
チャンスはあと数回しかない。けれど、どうやったらこれが開くのか、全く想像がつかなかった。
そして私は、やけくそになって、自分の誕生日の数字を打ち込んだ。
「え?」
その瞬間、端末の画面が切り替わる。タブレット端末のロックがあっけなく解除されてしまったのだ。
刹那、頭の中がとんでもないくらいに大きな不快感で支配された。
綾人くんが私の誕生日の数字をパスワードにしていることが、ただの偶然とは思えなかったからだ。その意味を想像すると、気持ちが悪くて吐き気がする。
私を痛めつける彼が、私のことを嫌いだと言っていた彼が、影でこんなことをしていると考えると、何だか全てがいやになった。
もう、いい加減にしてほしい。夏目先輩も、祥平も、綾人くんも、どうしてこんなにも私とどうにかなろうとするのだろうか。私はただ毎日を生きるのに精いっぱいなのに、それを逆手にとって私を手に入れようとする男たちの気持ちが、こんなにも苦しいと思ってしまう私は傲慢なのだろうか。
私はそんな気持ちを胸の奥にぐっとしまい込みながら、ブラウザアプリのアイコンにそっと触れた。


