性、喰らう夢







 またも、同じような時間を過ごして、朝になった。

 綾人くんはまたも夜通し机に向かって勉強をしていて、私は手首を拘束されながらその様子を黙って見ていた。たまに彼が私の話し相手をしてくれることがあったが、彼は基本的にすぐに勉強へと戻っていった。


 彼は昨日、自分のことを強迫性障害かもしれない、と言っていたが、彼の勉強に対する執念だけは確かにすごいなと思った。確かに彼は、そういった意味で人格に偏りがあるといえなくはないのかもしれない。けれど、私かて奇特な人種だろうから、彼のことをとやかく言う筋合いはない。


 そんな夜が明けて、朝になった。私は、彼がこちらの様子を気に掛けるよりもはやく、そっと目をつむった。意識ははっきりとしているけれど、それでいいのだ。


 少しだけそうしていると、瞼の向こう側で綾人くんが席を立つ音が聞こえた。



「お前、寝てんの?」



 私は彼の問いかけに何も答えなかった。眠っているふりをしておけば、彼はきっと私に睡眠導入剤を飲ませないだろうと読んでいたからだ。



「何だよ、別に夏目くんとじゃなくてもいいのかよ」



 そんな言葉が聞こえてきた。彼の声は心なしか弾んでいるように感じられた。

 私は表情を動かさないように、そして緊張しているのを悟られないように、静かに寝息に近い呼吸を繰り返した。頭部に彼の生暖かい手の感触を覚えた。頭を撫でられているみたいだった。