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眠るたびに、嫌な夢を見る。今回の夢は、じわりじわりと少しずつ身体が蝕まれる恐怖を思い出させるような、そんな夢だった。
意識が少しずつ外界に向いてきて、私はゆっくりと目を開けた。
窓から差し込む光がオレンジになっていた。部屋はしんと静まり返っているので、綾人くんは多分まだ予備校から帰ってきていないのだろう。
昨日が土曜日だったから、今はきっと、日曜日の夕方のはずだ。明日は学校があるけれど、この調子ではきっと、綾人くんは私のことを家に帰してくれなさそうだ。
体勢が辛くて、身体をすこし捩ったときだった。両脚の拘束が外れていることに気が付く。
手首は依然として前側で、結束バンドで固定されていたが、脚が自由なので、私は自分の力だけで起き上がることができた。
そのままトイレへと向かう。綾人くんはきっと、私がこうやって自力でお手洗いに行けるように足首の拘束だけを解いてくれたのだろう。その証拠に、トイレのドアが少しだけ開かれていて、開けやすくなっていた。
とはいえ、両手は完全に自由というわけではないため、何かと不便だった。腕をつりそうになりながらも、私は何とかお手洗いを済ませた。
これでは何かをすることもできないし、下着姿のままではこのまま逃げることも出来ないので、私は大人しくベッドに戻ることにした。
ベッドの縁に腰かけ、部屋の中を見回す。そのとき、視界の隅にある物が映った。
綾人くんの勉強机の上には、充電器が繋がれた勉強用のタブレット端末が置かれていた。


