そんなに俺の口から言わせたいなら言ってやるよ、と彼は目を細めた。
「俺は、お前がボロボロになろうとも、粗相をしようとも、手足がなくなろうとも植物人間になったとしても、お前のこと愛せるから」
彼から向けられた、まっすぐで、それなのに歪んでいる愛を感じて、私は背中を震わせた。感動なんかいうちゃちな感情じゃない。むしろその逆で、あり得ないくらいに大きすぎる嫌悪感と恐怖が全身を支配しているのだ。
そして私は、少し前に彼と交わした会話を思い出しながら、ぽつり、と呟いた。
「私のこと、嫌いだって言ってたじゃない」
前にここに来た時に、綾人くんそう言ってたじゃない、と付け加えると、彼は怪訝そうな顔をして、またもため息をついた。
「その他の奴らのことはもっと嫌いだって、言ったはずだけど」
「……でも」
それでも、私のことが好きなんて、おかしいよ、と言うと、彼は呆れたような顔をする。
「あれが相対的な評価であることに気付けずに言葉のまま理解しようとするお前に嫌気が差すけど、そんなお前の純粋さが殺したくなるほど羨ましくて、やっぱり愛おしいんだって、言ったら、理解できるか?」
「難しいし、やっぱり変だよ、綾人くん……」
いつもならそんなこと、絶対に言ったりしないのに。いつもみたいに私を嫌って、私を痛めつけて苦しめる彼の姿はどこにあるのだろうか。それとも、私が今まで見てきた綾人くんの姿は、実は全て偽りだったのではいか、とそんな考えが浮かんでくる。
彼はそのまま、顔を近づけてきて私の唇に軽くキスを落とした。


