――――――…………
――――……
――――――…………
――――……
目を覚ました時、妙に視界がはっきりとしていた。
でも、それとは反対に意識は半分ぼんやりとしていて。ああ、ここもまた夢の世界なんだと、何となくそう思う。
ゆっくりとベッドから起き上がる。家の中が妙に静かだ。普段とは明らかに何かが違う。
そう思い辺りを確認してみた。取り敢えず、部屋は何も変わってはいないようだ。なんだか間違い探しみたいだと思うと、心が少し浮かれてしまうのは否めない。
「……だーれもいない」
でも、この世界には誰もいなかった。
朝、必ず家の前の道を走っていく子どもたちも。隣の農家のおじいさんおばあさんも。アイくんもミズカさんもヒイノさんも。
世界はただ、静かだった。わたしは、……ひとりぼっちだった。
それでも不思議と寂しくなかったのは、今日は絶対にいい夢が見られると思っているからだろう。
わたしのこういう勘は、絶対に当たるからな!
『……あ、おはよ。もう少しかかるから、ちょっと待っててね』
(だからって、ここまで来ると自分の願望が恐ろしい……)
決めポーズをバッチリ決めながら台所に入ると、そこにはまさかのヒナタくんがいたからだ。しかも何故か料理をしているときた。
でも、これはきっと何かのお告げだ。もうすぐヒナタくんに会えるってことだろう。たとえ今は夢でも、素直にこの状況を喜ぶことにした。
「何作ってるの?」
『秘密』
「見てわかるよ。お粥でしょ?」
『だったら訊かないでよ』
つんと拗ねてしまったヒナタくんは、どうやらスマホで作り方を検索しながら料理していたらしい。普段のヒナタくんなら、お粥くらい作れるだろう。なんだかんだ料理上手だから。
そこは少し残念だなと、そう思いながら、引き出しからチェック柄のエプロンを取り出す。
「はいヒナタくん。エプロンどうぞ」
『……はあ。わかった、つけるから大人しくしててね』
大人しくエプロンを着ける姿を見ていると、初めて一緒に料理をした時のことを思い出す。あの時は、二人でお鍋をつついたっけ。
『……あのさ、ちょっと訊きたいんだけど』
「ん? あ、ドライイーストなら冷凍室に入ってるよ」
ボケにツッコミが返ってこなくて少ししょんぼりしていると、ヒナタくんは小さく呟いた。
『あの時の卵粥の作り方、教えてよ。隠し味に何入れたの』
「え? ……あはっ。お味噌と生姜!」
――――……
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目を覚ました時、妙に視界がはっきりとしていた。
でも、それとは反対に意識は半分ぼんやりとしていて。ああ、ここもまた夢の世界なんだと、何となくそう思う。
ゆっくりとベッドから起き上がる。家の中が妙に静かだ。普段とは明らかに何かが違う。
そう思い辺りを確認してみた。取り敢えず、部屋は何も変わってはいないようだ。なんだか間違い探しみたいだと思うと、心が少し浮かれてしまうのは否めない。
「……だーれもいない」
でも、この世界には誰もいなかった。
朝、必ず家の前の道を走っていく子どもたちも。隣の農家のおじいさんおばあさんも。アイくんもミズカさんもヒイノさんも。
世界はただ、静かだった。わたしは、……ひとりぼっちだった。
それでも不思議と寂しくなかったのは、今日は絶対にいい夢が見られると思っているからだろう。
わたしのこういう勘は、絶対に当たるからな!
『……あ、おはよ。もう少しかかるから、ちょっと待っててね』
(だからって、ここまで来ると自分の願望が恐ろしい……)
決めポーズをバッチリ決めながら台所に入ると、そこにはまさかのヒナタくんがいたからだ。しかも何故か料理をしているときた。
でも、これはきっと何かのお告げだ。もうすぐヒナタくんに会えるってことだろう。たとえ今は夢でも、素直にこの状況を喜ぶことにした。
「何作ってるの?」
『秘密』
「見てわかるよ。お粥でしょ?」
『だったら訊かないでよ』
つんと拗ねてしまったヒナタくんは、どうやらスマホで作り方を検索しながら料理していたらしい。普段のヒナタくんなら、お粥くらい作れるだろう。なんだかんだ料理上手だから。
そこは少し残念だなと、そう思いながら、引き出しからチェック柄のエプロンを取り出す。
「はいヒナタくん。エプロンどうぞ」
『……はあ。わかった、つけるから大人しくしててね』
大人しくエプロンを着ける姿を見ていると、初めて一緒に料理をした時のことを思い出す。あの時は、二人でお鍋をつついたっけ。
『……あのさ、ちょっと訊きたいんだけど』
「ん? あ、ドライイーストなら冷凍室に入ってるよ」
ボケにツッコミが返ってこなくて少ししょんぼりしていると、ヒナタくんは小さく呟いた。
『あの時の卵粥の作り方、教えてよ。隠し味に何入れたの』
「え? ……あはっ。お味噌と生姜!」



