すべての花へそして君へ③


 久々に集まった面々の楽しそうな表情を見ていると、お祝いというよりはちょっとした同窓会気分だ。まあ、兼ねてないといえば嘘になるだろうけど。


(全員に会うのは、一年振りくらいかなあ……)


 ツバサくんには最近しょっちゅう会っているけれど、他のみんなに会えたのは多分、トーマさんの結婚式以来だろう。


「あれ。あっちゃんちょっと雰囲気変わった……?」

「ものすごいいい感じの表現してくれてありがとうキサちゃん」


 高校卒業して早七年と半年。ついこの間まで大人っぽい女性になったと思っていたキサちゃんはというと、今ではすっかり母親の顔だ。今日お子ちゃまは両親に預けてきたらしい。


「あたしは、今ぐらいが触り心地よくて美味しそうだなって思うよ~」

「ん? ユズちゃん? 今何の話してるんだっけ?」

「え? あおいちゃんがふくよかになった話だよね?」

「………………」


 髪をばっさりショートにしたユズちゃんはというと、現在も保育士さんとして日々奮闘中とのこと。
 実は、着いて早々【招待状】を戴きまして。本来の目的も忘れしばらくは彼らのお祝いモード。なんか、チカくんごめんね。


「二人とも、幸せそうでよかった」

「あっちゃんもね」

「幸せ太りってよく言うもんねー」


 最近は仕事ばかりしてたし、知り合いに会う機会はめっぽう減っていたのは確かだ。
 そう、つまり思ったことをなんの遠慮もなくストレートにぶつけてくれるような人がいなかったということ。


(がっつり見た目でわかるほどか)


 ここまで言われたら、流石のわたしもそろそろダイエットを決意しなければいけなさそうだ。


「はいよ。軟骨の唐揚げお待ち遠様」

「……もうっ、チカくん!」

「は、はあ? んだよ」

「美味しそうだね! ありがとう!」


 決意して早々目の前に出される誘惑に、今日ばかりはちょっと勝てそうにない。半ばヤケクソの返事にも、今日は我慢してもらおう。