まあその後は、推測するに。埋もれてクンクン匂い嗅いで幸せ感じてるところに、寝坊したオレが起きてきて。出迎えようと思ってリビングから出たら、不可抗力で頭にパンツが被さっていたと。そんな感じか。
「だから、本当にパンツ被りたくて被ったわけじゃないもん。わたしだって、被ってるの知ってちょっと恥ずかしかったもん……」
「ごめんごめん。朝から超楽しかったよ、ありがとう」
「楽しませたくてやったわけじゃないのに……」
「でも、どうせ嗅ぐなら目の前の本人にしなよ」
「……! うんっ!!」と、大喜びで抱き付いてきた彼女は、たいそう嬉しいらしく尻尾をぶんぶん振っている。
「あと、誘うならもうちょっと色っぽいのよろしく」
「え?」
「ま、しょうがないからパンツ被っててもいいよ」
「もう被んないから!」
よしよしと宥めるように頭を撫でていると、本当に小さな声で「が、がんばる……ね」と。服を、つんと指で引っ張られた。
「上出来」
「うわっと!」
「ま、こんな記念日もあっていいよね」
「えっと、ヒナタ……くん?」
今日みんなと話した結婚観だけど。
多分オレは、こいつと結婚する。
確証があるわけじゃないけど、こいつ以外とは結婚しないから。
結婚したら……。
家はどんなのがいいとか。庭はどんな花壇にするかとか。子どもは何人欲しいだとか。
そんなことを考えるのも楽しいけど、それももうしなくていいかなって。オレは思った。
「抱いていい?」
「……っえ? ま、まだお昼過ぎ」
「誘ったのは、あんただよ」
「え!? い、いつっ、んんっ」
オレにとって。こいつと一緒にいる時以上に、楽しいことなんてないから。
だから結婚しても、きっと何をしてても楽しいし。幸せだと、そう思うから。



