再び5月11日。
四回目の、記念日。
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「……え。あの集団ヤバくない?」
「あ。あれ、現桜大生徒会とそのOBじゃん」
「イケメンが、真剣な顔して何話してるのかな……」
「次元が違いすぎてわっかんないわ……」
そんな周りの会話がざわざわと聞こえるここは、桜ヶ丘大学のカフェテリア。ガラス戸で区切られた一室を貸し切り、存分に目立っていた彼らが話している内容とは。
「この際だから、聞いてみようと思って」
「……何をだよ」
「みんなの結婚観」
「……」
え。なんでみんなそこで、揃って口噤むの。確かに、唐突だったかもしれないけど、いいじゃん別に。男子がそんなトークしたってさ。
「緊急事態っつうから、バイトのシフト変更してもらったんだぞシズルさんに」
「本当はその変わられた人もお願いしてたんだけどね。まんまと逃げられたか」
「けど、本当。いきなりどうしたのヒナくん。もうアオイちゃんと結婚でもするの?」
「いや、まだ流石に」
「じゃあ、なんで言い出したんだ? きっかけがないと、そんなこと話題に出ることもないだろう」
「……ま、アキくんはそう言うよね」
きっかけ……きっかけ、ね。
コーヒーにミルクを落とし、くるくるとスプーンで回す。勢いをつけて回っていたそれが、緩やかになった時。頬杖をついた。
「……なんであいつ、オレのパンツ頭からかぶってたんだろ……」
「ちょっと日向くん! 焼きそばパンなんて売ってなかったんだけど! 大学出てコンビニまで走ったじゃん!」
「あ、そうだったんですね。すみません。パシリの定番なんであるものとばかり」
「……ちょっと待て日向」
「ん?」
「今、なんかおかしいことが聞こえたような。俺の耳がおかしいのかな……」
「……? ユズに耳掃除してもらえば?」
「何の話?」
「シン兄は黙って」
「なんで!?」



