へなへなと、力が抜けて座り込む。
ああ、やっぱりレンの言うとおりだった。こいつ、剛速球の変化球投げてきてただけだった。最近直球ストレートの愛ばっかりだったからな。要求したのはオレだけど、すっかり基本の配球を忘れてた。
「ほらな。だから言ったろアオイ」
「……チカ? なんでここに……っていうか」
「やったねおうり!」
「お蕎麦だお蕎麦!」
アカネにオウリまで。三人揃って一体何してんの?
「……ヒナタくんごめん」
「え? なんであんたが謝って」
「わたしは、そんなつもりなかったんだけど、三人には思い切り怒られ呆れられ笑われたんだ」
「……なんで」
「ヒナタくんが帰ってこなかったのは、わたしが原因でしょう?」
「……えっと」
即答できないということは、そうだと言っているようなものだ。
再び頭を下げてきたあおいに慌てていると、顔を上げた彼女は、少し申し訳なさそうに笑った。
「詳しい話はまたあとでちゃんと話そう? 取り敢えず、手伝ってくれる?」
「……? 手伝うって、何を?」
「荷物。家の中に運んで欲しいの」
「……荷物?」
「うん。引っ越し荷物」
「……ハイ?」
お昼を一時間とちょっと過ぎた頃。ようやく、全ての荷物を運び終えた。
「みんな、お疲れ様。本来の意図とは違うけど、はい。引っ越し蕎麦お待たせ」
労いを込めて、みんなに配り始めるあおい。引っ越しに疑問を抱きつつ手伝ったオレも、一応ご相伴にあずかった。
「ごめんね、思ったよりも時間かかっちゃって。ミズカさんにもお願いしたんだけど、アイくんが朝から出かけちゃってたみたいで捕まんなくて」
「ギク」
「ヒナタくん?」
「ううん。なんでもない。美味しいねこのお蕎麦。手作り?」
「いや、普通に市販のですけど」
「あ。そ、そうなんだ。ふーん」
物凄く怪しまれているけれど。
そんなオレに助け船を出すように、チカがズルズルズルッと大きな音で蕎麦を啜った。
「まあ、今回悪いのはアオイだから。ヒナタはなんも悪くねえよ」
「……それさ、さっきも言ってたけどどういうこと?」
「実はねー、おれたち朝イチであおいチャンの引っ越しのお手伝い頼まれてたんだけどねー?」
「妙に元気ないから、ひーくんと何かあったの? って聞いたの」
「……なんでオレ限定なんだよ」
「そしたら、書き置きだけ残してお前が出て行ったって。しばらく待っても帰ってこなかったから、仕方なく先に荷物取りに行ってたんだよ」
「はあ……」
「そんで、何か思い当たる節ねえのかって聞いたら」
「そういえば、様子が変になったのは昨日の夜、あの話してからだ……って言うから」
「昨日の夜何話したの? って、もっかい聞いたら」



