タイミングもさ、多分いっぱいあったんだよ。けどオレが、その度に失敗したせいでここまで延びちゃって。
え。……ううん。ヒナタくんは、失敗なんてしてないよ。悪いのはわたしの方。
お互いさ、仕事とかいろいろ忙しかったし。いつかのあおいは、別にやんなくていい的なことまで言ってたけど、逆にオレの中に『やらない』って選択肢はなかったよ。だって、見たいじゃん普通に。見せつけたいじゃんオレの自慢の花嫁だって。
……っ。
もう泣くの。
泣かせたの。誰なの。
オレかな。
それ以外、あるの。
ごめんね? さっきのも踏まえて。
……謝るのは、わたしの方。
え?
……そんなふうに、思ってくれてたの知らなくて。
……言ってなかったからね。
だから。……ありがと。そう言ってくれて――
「……ウォッホン」
「「――!」」
「……進めテ、宜しいですカ?」
「す、すみません」
「宜しくお願いします」
お互い顔を見合わせていると、クスクス後ろからは小さく笑い声が上がる。
泣いていたのが一変。今は、恥ずかしくて顔から火が出そうだった。
「……それでハ、これより――」
……要はさ。
ちょっと、まだ言うの。
あおいは、一緒にいた十年間をありがとうって言ってくれたけど。
……ん?
オレは、その十年以上のこれからの時間を、オレに分けてくれてありがとう、って言う。
……ひなたくん。



