すべての花へそして君へ③


 タイミングもさ、多分いっぱいあったんだよ。けどオレが、その度に失敗したせいでここまで延びちゃって。

 え。……ううん。ヒナタくんは、失敗なんてしてないよ。悪いのはわたしの方。

 お互いさ、仕事とかいろいろ忙しかったし。いつかのあおいは、別にやんなくていい的なことまで言ってたけど、逆にオレの中に『やらない』って選択肢はなかったよ。だって、見たいじゃん普通に。見せつけたいじゃんオレの自慢の花嫁だって。

 ……っ。


 もう泣くの。

 泣かせたの。誰なの。

 オレかな。

 それ以外、あるの。


 ごめんね? さっきのも踏まえて。

 ……謝るのは、わたしの方。

 え?

 ……そんなふうに、思ってくれてたの知らなくて。

 ……言ってなかったからね。

 だから。……ありがと。そう言ってくれて――



「……ウォッホン」

「「――!」」

「……進めテ、宜しいですカ?」

「す、すみません」

「宜しくお願いします」


 お互い顔を見合わせていると、クスクス後ろからは小さく笑い声が上がる。
 泣いていたのが一変。今は、恥ずかしくて顔から火が出そうだった。


「……それでハ、これより――」



 ……要はさ。

 ちょっと、まだ言うの。

 あおいは、一緒にいた十年間をありがとうって言ってくれたけど。

 ……ん?

 オレは、その十年以上のこれからの時間を、オレに分けてくれてありがとう、って言う。

 ……ひなたくん。