「……ありがとう。ツバサくんには、負けるけど」 「……そもそも、綺麗さで勝てると思ってんのかよ」 「……ふむ。あんま思ってない」 「思えちょっとくらい」 ふはっと二人して小さく笑い合いながら、俺はそっと腕を差し出す。 「……十分、綺麗だよ。今も、昔からずっと」 「……ありがとう、ツバサくん」 それに彼女は、そっと手を添えた。 「こんな大役、他の奴には譲んねえよ」 「ふふっ。ありがとー!」 しょうがねえから、連れて行ってやるよ。 お前の、幸せがあるその場所へ――……。