すべての花へそして君へ③


「……ありがとう。ツバサくんには、負けるけど」

「……そもそも、綺麗さで勝てると思ってんのかよ」

「……ふむ。あんま思ってない」

「思えちょっとくらい」


 ふはっと二人して小さく笑い合いながら、俺はそっと腕を差し出す。


「……十分、綺麗だよ。今も、昔からずっと」

「……ありがとう、ツバサくん」


 それに彼女は、そっと手を添えた。


「こんな大役、他の奴には譲んねえよ」

「ふふっ。ありがとー!」


 しょうがねえから、連れて行ってやるよ。

 お前の、幸せがあるその場所へ――……。