“――伸し上がれよ翼。お前は俺の、最初で最後の相棒なんだからな”
「今改めて考えてみても、本当に変わった人だったよね黒瀬さん」
「そうですね」
「でも、……本当に仲間思いで、素敵な人だった」
「……はい。そうですね」
優さんへ。
一家揃って、また放浪癖ですか? 今どこにいるんですか。そんなことしてたら、旅先でまた妹さん見失いますよ。くれぐれもかくれんぼはしないように。
「実は私ね、二人のこと似たもの同士だなって思ってたんだ。なんだかんだ言いつつ、二人が仕事に向き合う姿勢とか。何かを掴み取るために必死にもがいている姿とか。そっくりだなって」
「……俺も正直、重ねてたところはありました」
「翼君も、昔も女の子の恰好してたんだよね? 今ももちろんお似合いだけど、昔の写真も見てみたかったなあ」
「……俺、そんなこと言いましたっけ」
「……あれ? ああ!」
(口の軽い魔王め)
追伸。
言いそびれましたが、妹さん見付かったからってさっさと引退して俺のこと放置とか酷すぎませんか。自分が引き入れたんです。ちゃんと、最初から最後まで見届けてくださいね。
「も、もしかしてこれって誰も知らない……?」
「昔の知り合いはともかく、仕事仲間の人たちも一部除いては」
「だ、誰にも言わないよ! 言ったりしないよ!」
「そもそも心配してないですよ」
だってあなたは、俺の友人がその銀色に輝く薬指に、永遠の愛を誓った人なのだから。
「それに、前のアシさんがついに痺れを切らしてとうとう辞めちゃった後、あの暴君優さんのアシスタントをこなしちゃった人ですから、彩芽さんは」
「いやいや……(本当のところを言うと、実力で買われたんじゃなくてイケメンに耐性があったからなんだけど)」
「だから、今日も信用してます」
「……翼君」
優さんが、カメラマンを辞めて一年。その後を、彼女が引き継いだ。今度は、彼女と俺の番。これは、二人の野望を叶えるための、まず第一歩。
「翼君のデビュー。絶対成功させてみせるから!」
「俺も。彩芽さんの写真展、絶対成功させるから」
「いやいや何言ってんの。十分成功させてもらいましたから。それよりも、ほら。先にすることあるでしょーにっ」
「……」
「惚れた女を見返す……だったっけ?」
「……まだ言うんですか、それ」



