そう言って彼は、写真の中を指差しながら、人と人を線で結ぶように辿る。……これって、もしかして。
「……恋人同士?」
「の、奴もいる。でもまだの奴もいる。けど、どの奴らもちょっと危ねえの」
その中には、恩人の子も、それから元婚約者の子もいた。
「この間、こいつと会った日。送った後の車の中で、俺思ったんだ」
どうやら、この俺に彼女ができる日はまだまだ先の話らしいって。
「というか、いつ悪い方に傾くかもわからない今は、心配で夜も寝られねえ」
「……桐生君にとって、みんなは本当に大切な人たちなんだね」
「うん。家族みたいなもんかな」
「……そうなんだ」
その家族の一大事とあれば、お兄ちゃんが一肌脱がないとダメだよね!
「けど、本当に好きな子いないの? ていうか、そうは言ってもまだ好きなんじゃないの?」
「……疑うねえ」
「そりゃだって、好きな人のことだから」
「……そうだね」
腕を組み、眉間に皺を寄せて一頻り悩んだ彼は、うんと頷いた。
「確かに、好きって気持ちはある。けど、応援したい気持ちの方が、何倍も、何十倍も強いかな」
そう言いながら、彼はまた優しい顔で、アルバムの中の一枚を撫でた。……もしかして。
「桐生君がシズルさんを疑っていたのは、恩人の子とその彼氏のため……だったりするのかな」
「……」
「……まさかね」
「……よく見てるね」
「え?」
「それも、好きな人云々と関係あるの?」
それは、ちょっと意地悪な質問だ。まともに答えてたらきりがないと、そう思ったけれど。
「……うん、もしかしたらそうかも」
「……」
今は、桐生君が素直に話してくれている分、逃げたり隠したりはしたくない。
「それはそうと、なんでわざわざ見せてくれたの? 嬉しいけど」
「……なんでって?」
「アルバム見せなくても、言葉だけで十分足りたのにって話」
「……前にも言ったでしょ俺」
“先輩がもうちょっと性格悪かったらよかったのに”
「先輩には、……なんか、ちゃんと知ってて欲しかったんだと思います。多分」
「……桐生君」
ってこらこら。いちいち喜ぶんじゃない。振られてるんだから。



