部長と桐生君。二人がいる空間がすごく気まずくて。今日以上に部活を楽しめない日は、もうきっと来ないだろう。
なかなか時間が進まなかった部活も無事に終わり。二人から逃げるように、私は部室を後にした。
「……どこほっつき歩いてたの」
「い、いえその、王子に献上する品を物色しておりまして……」
「……何献上してくれるの」
「な、納豆を少々」
「入城不可です。お帰りください」
「やだやだごめん! 入れてくださいお願いします!!」
そして現在、ちょっとした一悶着はありましたが、無事に王子のお城に登城することができました。いやはや、納豆はもうやめとこ。
「……突っ立ってどうしたの。入んないの」
「桐生君、もう私の気持ち知ってるんだよね」
「……」
「わかってるんなら、……その、私何するかわかんないから、あんまりそう簡単に入れない方がいいと思うんだ」
「……俺が別に気にしないって言って無理に引っ張ったら、先輩は困る?」
「可能性ないのに、バカみたいに浮かれるからやめて欲しい」
「うん。わかった。じゃあしない」
「……ごめんね桐生君」
「別にいいよ。俺が持ってくればいいだけの話だから」と、ちょっと待っててと彼は私を玄関に残し、プライベートルームへと向かっていった。持ってくるって、何持ってくるんだろう?
「はいこれ」
「……見ていいの?」
「見て欲しいから持ってきた」
「……ん。わかった」
「じゃあ見させてもらうね」と、彼から受け取ったのは一冊の本……ううん。アルバムだった。
「……桐生君が若い」
「若いって、今も十分若いから」
昔の写真もいくつかあったけれど、大半はここ数年のものだろう。というか、学生服の桐生君ちょっと新鮮。
何ページか捲って気が付いたのは、いつも映っている友だちが一緒だってこと。その中には例の恩人の子も、元婚約者の子も映っていた。
「正直に話すと、先輩の好意は何となく気付いてた」
「……気付いてない振りしてたんだ」
「気付いてない振り……というか、まさかとは思ってたかな。それでも、違うって思うようにしてたのは気持ちを向けられたとしても受け取ってあげられなかったから」
「……」
「……今は、自分の色恋にかまけてる暇がないんだよな……」
「……え?」
てっきり私は、まだ彼女への想いを引きずっているとばかり思っていたけれど。彼の優しい視線は、アルバムの中の誰かに落とされていた。
「……桐生君?」
「……俺が言ったってことは内緒ね?」



