“明後日、話します”
「田雁さん!!」
「――ハッ!」
「補習中に居眠りとは……」
「きょ、教授すみません。夕べちょっと、寝られなくて」
「テストの点数一桁に続き、イイ度胸ですね……」
「ご、ごめんなさいもう寝ません!!」
今日は、その約束の日。私が到着した時には、20時近くになっていた。
【本日18時より貸し切り】
これって、もしかしなくても私のせい……?
「ご、ごめんなさいお待たせしました!!」
「え?」
「……あれ?」
「……えっと」
慌ててお店の中に入ると、中には一人の女性と小さな子が二人。
「おねえちゃんだあれ~?」
「えっ! え、えっと、お姉ちゃんは……」
「ねねちゃんはね、ねねちゃんなのー」
「え?」
「それと、こっちでおねむなのはしーちゃん!」
「……ねねちゃんとしーちゃん?」
「うんうん! おねえちゃんも、ぱぱとごはんいっしょにするんだったの~?」
「え? ぱ、パパ……」
え。じゃあもしかして。今、しーちゃんなる子を寝かしつけながら、ねねちゃんなる子を引き留めて私に「すみませんいきなり」なんて言っている、とても綺麗な人はまさか……。
「……き、桐生君の奥さんと、隠し子……!?」
「どうしてそうなるか」
「!?」
「一回頭の中覗いてみたい気がしなくもないよね。どうする? 知り合いに医者の卵いるけど」
「ど、どうするって何を?!」
「てか誰も待ってないから」
「え? ……桐生君、待っててくれてなかったの」
「違うよ。待ってなかったのは、シズルさんの奥さんとその娘二人」
…………え。
「シズルさんってこんなに大きな子どもがいるの!?」
「そうだよー」
「わあ! 出た!」
「学生だけど、俺浪人してるからねー」
「……え? そうなんですか?」
「言っても、アヤメちゃんの二つ三つ上くらいだよ」
「そうだったんですねー」
「そっちの話、そろそろ終わってもらってもいいですかね」
「あ、ごめん桐生君そっちのけで。入る?」
「入りません」



