『あの、急いでるんですが……』
『あたしたちも、暇じゃないですけど』
『用が済んだら、私たち立ち去りますから』
『……でも、桐生君と会わない・話さない・近付かないでというのはどうにも。部活も一緒ですし』
『部活以外でも会ってますよね』
『何度か目撃してますよ。ここ最近でもう数回』
『えっ? それ、は……』
『けど、彼女じゃないんですよね?』
『困るんです、常識ないと』
『じょ、常識、とは……』
『桐生君と話したいなら、まずはファンクラブ会員になってもらわないと』
『会う時は必ず二人以上。新人はまずは挨拶程度からです』
ふぁ、ファンクラブ、とな。ナンジャソリャ。
『先輩には、アドバイスもらってただけだよ』
『き、桐生君!』
『あ、アドバイスとは……?』
『次のコンテスト。撮るものは決まったんだけど、アングルとか時間帯とか、そういう細かいところ聞いてて。こう見えて先輩、腕はいいんだ』
『そ、そうとは知らずにあたしたちったら』
『ご、ごめん遊ばせ~!』
ほ、本当にそう言って逃げる人っているんだ。
『……今度から、もうちょっと気を付けとかねえと。また面倒くさいことになる』
『ふぁ、ファンクラブなんてあるんだね』
『どっかの誰かが勝手にね』
『……意外。やめさせないんだね』
『何割か収入入るから』
『……守銭奴か』
『入んなきゃほっといてないよ』
『……ありがとうね』
『……何が?』
『助けてくれて』
時には、私に直接言ってくる人から。自分のせいで、私に被害が行かないようにしてくれた。
『いや、助けたとかじゃなくて普通に困るから』
『桐生君……』
『今日さ、荷物本気でやばかったの』
『え』
『部室行ってもいないし、捜し回ったじゃん。じゃ、よろしく』
『ええ!?』
気付かないとでも、思われてるのかな。
こんなにたくさん嬉しいことされるから、いつも何かお返ししなきゃって。まあ、考えるのも毎日楽しいんだけどさ。



