「――!」
けど、彼女の待ち人が現れた時、私は思わずお店の陰に隠れてしまった。
なんとかここから見えるのは、待ち惚けを食らっていた彼女の、少しご機嫌斜めな表情。けど、そんなツンな顔もとっても可愛らしい。
(……そういえば、この間電話してたな……)
それは、本当につい最近の話だ。
私が、一回見たんだから何回見ても一緒じゃないかと言い張り、彼が撮った写真の女の子を、もう一度見せてもらった時だ。
『……遠距離多いな。視線がないのもほとんどだけど、近距離でちゃんとこっち向いて笑ってるのもある。ってことは、やっぱり桐生君ストーカーなんかじゃないんだ』
『………………』
『あ、でも友だちや彼女でさえもストーカーするような子増えてきてるからな。もし彼女に出会した時には、背後に気を付けてって言っておかないと』
『その前に、自分の目の前気を付けてね』
『え? 何の話?』
『全部口から漏れてるって話』
『あは。ごめんごめん。それでさ、この写真なんだけど』
『全然謝る気ないじゃんそれ……』
桐生君を振り回すのが、少し快感になっていた頃だ。言ったら怒られるから言わないけど。
『この写真。それからこの写真とこの写真なんだけど』
少し感じた違和感に、もしかして彼は、本当に彼女のボディーガードか何かなのかもしれないと思ったんだ。
『……何』
『この帽子の人、なんか変じゃない?』
『何が』
『これとか時間見て? まだこの時って海水浴来たばかりでしょ?』
『そうだね』
『……桐生君?』
『だから何』返事は一応返してくれる彼は、どこか機嫌が悪いように見えたけど……気のせい、かな。
『……うん。あのね? 勘違いかもしれないんだけど――』
そうして私が帽子の男の人を指差した、まさにその時。まるで話に割り込んでくるように、桐生君のスマホに連絡が入ったんだ。
『……ナイスタイミング』
そう言って席を立った彼が電話をかけ直して口にした日付は、確か今日だ。予定の相手は、ウエディングドレスの彼女だったんだ。
「……もしかして、今日はデート……?」
それから、あの写真のことは有耶無耶になってしまったけれど。じゃあやっぱり、桐生君ってあの子のボディーガード……だったりするのかな。だから、今一緒にいる子は、好きな子、……なのかな。



