すべての花へそして君へ③


 唐突にもほどがあるんですけど。仮にも司法修習生。まだ、25歳ですよ俺。


「頭は回るが、なんでも女運がないと聞いてな」

「……いや、ないというか……」

「初恋は幼馴染み。片想いで叶わぬ恋。そして次は、現れた可愛い女の子にさっさと乗り換え」

「……それだけ魅力的だったんです。何ですか。当て付けですか。やっぱりまだ楓さんと喧嘩してるんですね」

「あの子はそういう子だ。……誰も彼もを魅了する何か、特別な力を持っている」

「……特別な、力……」


 まさか、あの体質がそうさせているわけじゃないだろう。
 きっと、それは彼女の本質。そして、培ってきた心の強さが、彼女の魅力の表れなんだ。


「だから別に、乗り換え早えなこいつとか思ってないぞ別に」

「それ思ってるヤツですから」

「寧ろそれくらいの方がこの仕事は向いているかもしれん」

「……え? それってどういう……」

「大事なものがあればあるほど、動きにくくなる。もしお前がこの先、伸ばしてきた手を一つでも多く掴もうとするなら尚更」

「……それは、実体験?」

「そうして私は、失いかけた」

「……」


 考えたことが、ないわけじゃない。大事なものを守るためにしていることのはずなのに、何故それが枷になるのか。傷付けるのか。そういう壁には、過去に何度とぶつかってきている。

 だから今、俺はここにいる。


「さあ。……お前はどうする」

「……俺は」


 俺の答えは――――……。