「……あのなひな子」
「あら。いらっしゃいましたのお兄様」
「いらっしゃいますよ。僕の部屋だよ?」
「だって、見たいかと思いまして。ほれ」
彼らの初デート写真を大量に抱えやってきてあげたというのに、兄は少し不満げだ。なんて贅沢な。仕方がない、今度は二人の初喧嘩写真も持ってこよう。
「……隠し撮りしてるとか、桃香ちゃんに知られても知らないよ」
「知られないようにしているので問題ありませんわ」
「……そういう問題ではなくてだね……」
「何を言っていますの? お兄様の方こそ、あたくし以上に他人の情報を漁ってくるのがお好きではありませんか」
「僕はそうやって大切な人の思い出を勝手に覗き見るようなことはしない」
「人の弱みにばかり付け込むお兄様に、あたくしの趣味をとやかく言われる筋合いはありませんわ」
「……」
「……」
「(……はあ。まあ桃香ちゃんも、思うこともないか。まさかこれが、理事長の娘だなんて)」
「……何を言っていますのお兄様。それよりもほら。この桜李君見てくださいな。いっちょ前に男の人の顔をなさっていますわ。まあなんて憎たらしい……!」
「(……今度桃香ちゃんと、それから桜李君には、何か贈らせてもらおう。……プリンがいいかな? それともペア宿泊券?)」
「お兄様余所見なさらないで。せっかくの桃香の可愛さを、今この目に焼き付けておきませんと」
「……見たくなったらまたアルバム開けばいいだろう?」
「いっぱいありすぎて、今じゃどこにどの写真があるかわかりませんもの」
「……」
兄の鷹人は、改めて思いました。
後日、二人には心からの感謝と、お詫びをさせてもらおうと。



