すべての花へそして君へ③

<OMAKE1>


「桃ちゃん桃ちゃんっ。あ~んってして?」

「……っえ!?」


 確かに大きいけれど、一つのプリンを二人で突っ突いて食べるだけじゃ、面白味に欠けるよねー。ま、そんなおふざけな提案を、真面目な彼女は完全に真に受けて固まってしまっているけれど。
 ……真っ赤だ。可愛いね。てことは、もう十分伝わったってことで、いいのかなあ?


(まさか、ここまで桃ちゃんがニブチンだとはねえ……)


 でも、……そうだよね。初めましてから、すごいチラチラ見られてて、気になってたっぽいけど。それは、可愛いもの大好きだったから、だもんね。実は、やっぱりまだ全然伝わってなかったりして。


(有り得るよねー。おれが好きだって自覚も、結構後っぽかったし)

「……あ、あ~ん……」

「……」

「……お、桜李さん……? 早くしてくださいよ」


 そういうの、不意打ちでしてくるの本当にやめて欲しい。


「あーんっ」

「……」

「……? っ、どうしたの?」

「い、いえ。……その。ゆ、夢みたいだな……って、思って」


 ……なんだ。ちゃんと伝わってるんじゃん。


「ならよかった」

「……桜李さん」

「ん?」

「好きです」

「……」

「大好きですっ」


 そんな可愛いこと言わないでよ。おれが、人目も憚らずに桃ちゃんのこと、めちゃくちゃにしちゃったらどうするの。


「おれもだよって、言って欲しいの?」

「はいっ」

「……言わないよ?」

「えっ?」

「だって、……おれのこと、知りたいんでしょう?」

「……」

「それ、……全部知ってからね?」

「……の、望むところです……!」


 照れ隠し? ま、それもないわけじゃない。でも実際は、まあ相手が女子高生なわけだし。もっとお互いの時間を重ねてお互いのことを知ってからかなと。
 おれの愛も相当なものだよってこと、覚悟しておいてねって、いうのもある。


「……でも、言ったらなんか、負けた気がして嫌なんだよねえ……」

「え? ……そ、それは、負けてもらわないと私困るんですけど……」

「……ずっと困ってればいいんじゃない?」

「ええ!? そんな、桜李さんっ」


 けど一番の理由は。……おれさ、名前に【ひな】って付く人には、人一倍負けたくないみたいなんだよね。男女問わず。
 ……だから、ごめんね? 桃ちゃん。


「今は、これで許してね?」

「!?」


 今はキス(こっち)の方が、君におれの思いがちゃんと伝わるはずだから。