すべての花へそして君へ③


 友人は、まるで初めからわかっていたかのように。その人の名前を、つんと突いた。


「頼って桃香。あたくしに、友人の恋を応援させてくださいまし」

「……うん。ひな子、お願いがあるの」


 あなたが今、指差している人の連絡先と、できたら住所。知っていたら教えて欲しい。
 そう言うと彼女は、本当に嬉しそうに笑った。「桃香が初めて、あたくしを頼ってくれました」なんて。いや正直そんなことないと思うんだけど。


「違いますわ」

「え?」

「女友だちと言えば、何かわかりますか?」

「え? ……な、何?」

「そう! 恋バナですわ!」

「うわっと!」

「聞いてくださいます? あたくしの大の友人の話なのですけれど、興味のあることと言えば勉強。勉強勉強、勉強ばかり。教師の信頼は厚く、生徒たちから頼りにされることもしばしば。過去にはいろいろそれはありましたけれど、今では自慢したくなるほどの優等生っぷりですわ」

「……そ、そう……」

「ですから、……ずっと物足りませんでしたの」

「え? 何が?」

「それは勿論! L.O.V.E! ラヴですわ!!」

「………………」

「過去にダークな部分を持つ、かすかに哀愁漂う優等生。そんな彼女の瞳には、一体どんな殿方が映っているのか……!」

「……」

「それがようやく見られそうで、とっても楽しみですわ」

「……あんたねえ……」


 まさか、はじめっからそのつもりで私に近付いてきたというのか。そんな、……下心有り有りで。


「ですから、初めて恋をした桃香があたくしを頼ってくれて、すごく嬉しいんですの」

「……初めてじゃないけど」

「……え?」

「普通に初恋とか済ませてるし」

「なっ!」

(……実ったことは、ないけれど)

「……うそですわよね?」

「嘘ではない」


 じゃなきゃ、桜李さんのこと。あんな風に自覚するわけないっていうのに。
 けど、こうして応援してくれてるひな子のためにも、頑張らなきゃなって。今改めて思ったよ。……でも。まさか、こんなことで友人やめられたりしないよね、私。


「……率直な疑問なのですけれど」

「何?」

「これは勘ですの? 恋する乙女の」

「……何が?」