友人は、まるで初めからわかっていたかのように。その人の名前を、つんと突いた。
「頼って桃香。あたくしに、友人の恋を応援させてくださいまし」
「……うん。ひな子、お願いがあるの」
あなたが今、指差している人の連絡先と、できたら住所。知っていたら教えて欲しい。
そう言うと彼女は、本当に嬉しそうに笑った。「桃香が初めて、あたくしを頼ってくれました」なんて。いや正直そんなことないと思うんだけど。
「違いますわ」
「え?」
「女友だちと言えば、何かわかりますか?」
「え? ……な、何?」
「そう! 恋バナですわ!」
「うわっと!」
「聞いてくださいます? あたくしの大の友人の話なのですけれど、興味のあることと言えば勉強。勉強勉強、勉強ばかり。教師の信頼は厚く、生徒たちから頼りにされることもしばしば。過去にはいろいろそれはありましたけれど、今では自慢したくなるほどの優等生っぷりですわ」
「……そ、そう……」
「ですから、……ずっと物足りませんでしたの」
「え? 何が?」
「それは勿論! L.O.V.E! ラヴですわ!!」
「………………」
「過去にダークな部分を持つ、かすかに哀愁漂う優等生。そんな彼女の瞳には、一体どんな殿方が映っているのか……!」
「……」
「それがようやく見られそうで、とっても楽しみですわ」
「……あんたねえ……」
まさか、はじめっからそのつもりで私に近付いてきたというのか。そんな、……下心有り有りで。
「ですから、初めて恋をした桃香があたくしを頼ってくれて、すごく嬉しいんですの」
「……初めてじゃないけど」
「……え?」
「普通に初恋とか済ませてるし」
「なっ!」
(……実ったことは、ないけれど)
「……うそですわよね?」
「嘘ではない」
じゃなきゃ、桜李さんのこと。あんな風に自覚するわけないっていうのに。
けど、こうして応援してくれてるひな子のためにも、頑張らなきゃなって。今改めて思ったよ。……でも。まさか、こんなことで友人やめられたりしないよね、私。
「……率直な疑問なのですけれど」
「何?」
「これは勘ですの? 恋する乙女の」
「……何が?」



