気付けば、夜更かしもいいところ。それどころか朝が来そうだ。思わず欠伸が出る
「少し眠りましょう。起きたらきっと、これからはもっと素敵な時間がやって来ますわ」
「……うん。そうだといいね」
「ええ。きっとそうです。……おやすみなさい桃香。よい夢を」
「……ひな子も。素敵な夢を見てね」
ふっと笑みを浮かべた彼女が、耳元で何かを囁いていたけれど……。
(……そういえばひな子と桜李さんって、一体どういう関係なんだろう……)
それを聞き取るだけの意識は、もう現実世界にはなかった。
――――――…………
――――……
沈み込むように、ベッドに体が預けられる。なんで、こんなに心身ともに疲れているんだろう。
(……いった……)
あれ。なんで私、腕押さえてるの……? そういえば肩も。……なんで痛いんだっけ。
“――ねえ! 何をする気だったの!”
……ああ、そうだ。私、怒られたんだ。
すごい怒号で。思い出すだけで体が勝手に戦いてしまうほど。
そういえば、誰かに本気で怒られるのっていつぶりだろう。そもそも、怒られたことってあったかな。
“――桃ちゃん!!”
(……なんで……)
彼はこんなに怒っているんだろう。私は何をしてしまったんだろう。
それを改めて聞くのも怖い。怒らせた時の顔をまた見るのが、……怖い。
(……こわい……)
目の前の人が、まるで別人だった。
私の知ってる、――さんじゃないみたい。
……? ――さん?
――さんって? ――さんって、誰?
(……こわいっ……)
――さんに、嫌われるのが一番……怖い。
――――――…………
――――……



