すべての花へそして君へ③


 そして始まるヒナタくんの猛抗議。


『オレもやってたから知ってるけど、ご飯とか洗濯物とか。正直一人分も二人分も変わんなくない?』

「……へ?」

『家族全員分……花咲家だったら四人分か。それ全部しなくちゃいけないんだから、そりゃ手も貸すよ。毎日してなくて、慣れてないんなら余計。てかあんた仕事してたんだからさ』

「……あれ?」

『はあ。……でも、二人暮らしが長かったオレだから言うけど、いろいろ十分だと思う。正直それ以上何を求めようとしているのか、寧ろオレは、……はあ。そっちが、理解不能なんだけど』

「えー……」


 息継ぎしてなかったから息切れてるし。
 でも、……ちょっと。いや、だいぶ盲点だったかもしれない。


『もし、それでも足りないって言うなら、この家貸してあげるよ』

「ええ!?」

『料理洗濯は一人分で簡単かもしれないけど、部屋数は多いから、掃除が一番大変かも』

「……ひ、ひなたくん?」

『だからさ、普段は一人で、たまに二人分とかしてよ。通い婚みたいな感じでさ』

「か、通い婚……」

『まあ、一緒に住むなら任せっきりにはしないけど。初めから分担してやるつもりだし』

「……い、いいのかな」


 正直、まだまだ不安なところはいっぱいあるけど。


『……いいんじゃない? 何をかは知らないけど、家ならいつでも貸すし、もしできないところがあるんならそれは補えば。というか大丈夫だよ。多分できるから、あおいは』


 そんなわたしでも、君はそんな風に受け止めてくれるんだね。
 なんでだろうね。君にそう言われると、なんでもできそうな気がしてくるのは。


「……ねえ、ヒナタくん」

『何?』

「さっきの。もう一回言ってくれない?」

『……二人暮らしすればいいんじゃない?』

「違う。そっちじゃなくて」

『……そっち? いや、どっち』

「さっき言ってくれたじゃん」

『さっき? ……ああ、もしかして』