すべての花へそして君へ③

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(……そかそか。あの二人がやっとか)


 ここまでの道のりも長かったなあと、どこか親気分だ。


「すみませーん! 中入っちゃったんですけど出たくて。カード処理お願いしてもいいですかあ?」

「はいはーい。お忘れ物か何かで?」

「いえ。ちょっと、……気分転換に歩きたくなって」

「そうですかそうですか。じゃ、行ってらっしゃい」


 カードを受け取って駅を出る。全く知らないこの町の空気はとても冷たくて。


「鼻痛い……」


 嬉しい反面やっぱり少しだけチクッとするのは、おれの中に残っていた僅かな未練なんだろうか。あったことに今、おれ自身ビックリしてるけど。


「……ありがと、あおいチャン」


 今日は、その分だけ歩いて行こう。
 これは、ここに置いて。新しい名前になった想いだけ、持って行こう。


「……送信、っと。よし! いくぞー」


 おれを照らしてくれた君のように。
 いつかおれも、誰かを照らせる光になれますように。


 ――――――…………
 ――――……


《件名:大好きなあーちゃんへ♡

 今さっき、チョコレート受け取ったよー!
 忙しいのにわざわざ届けてくれてありがとう☆
 美味しくいただくね!》


 昨夜のうちに届いていたメッセージ。ああ、なんで気が付かなかったのだろう。
 わかる? この、言葉の端々に感じられる可愛さ!……ああ、なんで気が付かなかったのだろう。


《件名:ねえあーちゃん。どういうこと。

 ちーちゃんは手渡しでもらったって
 言ってるんだけど
 どうしておれには手渡ししてくれなかったの。

 そうやっておれの登場回数
 減らそうと思ったわけ
 そういうの何て言うか知ってる?

 差別っていうんだよ》


 アカネくんと電話中に届いた新着メッセージ。
 このそこはかとなく漂ってくる感じ。うん。ちょっとじゃなかったやアカネくん。真っ黒だったや。ああ、ほんと。なんで気が付かなかったんだろ。


「はてさてどうしたものか」


 この不在着信2件が怖い。2件の間に一分しか空いてないのも怖い。そして何より、2件で終わっているのが怖い。


「多分チカくんかレンくんが止めてくれてるんだろうけど……」


 手渡しできなかったのは事実だし。申し訳ないと思ってたし。
 ……お詫びの電話、入れさせてもらおう。それで、ダークオウリが許してくれるといいんだけど。

 電話をかけようとしていると、メッセージが届いた。相手は、先程電話をしていた相手だ。メッセージには、画像が添付されていて――――……