「というか、絶対父さん甘やかしたくて仕方がないんだよ。オレもあんたも、大抵のことは一人でやるから、こういうことでぐらいしか手貸せないとでも思ってるんだと思う」
「……」
「……あ。ま、まあそういうわけで」
あー、なんかものすごい照れ臭い。
俯いてしまった彼女が、どんな表情をしているのか。ハッキリとはわからない。でもこういうこと言う時って、やっぱりちゃんと目見て言った方がいいよね。覗き込んだ方がいい? いや、でも余計俯いたら嫌だしな。
「えっ! ちょ、大丈夫……?」
意を決して覗き込もうとしたら、膝からカクンと彼女の体が崩れてしまった。
「……ご、ごめん」
「ううん、オレの方こそ。いきなりこんなこと言ったから」
慌てて抱き留めて、段差に二人腰を下ろす。……震える彼女の手に、力が入った。
「こっちの事情は、まあ大体そんな感じだから。正直今すぐって言ってもウェルカムパーティー開きそうな勢いだけど」
「あはっ。……嬉しいね」
「けど、あんたはもうすぐ卒業するけど、オレはまだ高校生だし。一緒に暮らすってなったら、自分なりに準備できることしておきたいし」
「……うん」
「それに、オレはいいけど、あんたは……その。女の子、だから」
「ふふっ。そうだね?」
きっと、九条家みたいに簡単にはいかないだろう。簡単すぎる気が、しなくもないけど。
花咲家の二人も、アイも。それから朝日向家の人たちだって。オレ以上に、彼女のことを大事に思ってる。それに、こいつだって。離れていた分、空白だった時間を大切にしようとしてる。その邪魔だけは、したくない。
「オレは、いつまでだって待ってるから」
オレが二十歳になって、この家を譲り受けた時でも。オレが社会人になって、一端に仕事ができるようになった時でも。なんなら五年後でも、十年後でも。もちろん今すぐだっていいけれど。
「そっちの家の条件が呑めた時でいい。したいこと、やりたいこと、いろんなことに片が付いてから。あおいの気持ちの整理が、整ったら……」
オレと、一緒に暮らしませんか。あおいさん。



