すべての花へそして君へ③


「というか、絶対父さん甘やかしたくて仕方がないんだよ。オレもあんたも、大抵のことは一人でやるから、こういうことでぐらいしか手貸せないとでも思ってるんだと思う」

「……」

「……あ。ま、まあそういうわけで」


 あー、なんかものすごい照れ臭い。
 俯いてしまった彼女が、どんな表情をしているのか。ハッキリとはわからない。でもこういうこと言う時って、やっぱりちゃんと目見て言った方がいいよね。覗き込んだ方がいい? いや、でも余計俯いたら嫌だしな。


「えっ! ちょ、大丈夫……?」


 意を決して覗き込もうとしたら、膝からカクンと彼女の体が崩れてしまった。


「……ご、ごめん」

「ううん、オレの方こそ。いきなりこんなこと言ったから」


 慌てて抱き留めて、段差に二人腰を下ろす。……震える彼女の手に、力が入った。


「こっちの事情は、まあ大体そんな感じだから。正直今すぐって言ってもウェルカムパーティー開きそうな勢いだけど」

「あはっ。……嬉しいね」

「けど、あんたはもうすぐ卒業するけど、オレはまだ高校生だし。一緒に暮らすってなったら、自分なりに準備できることしておきたいし」

「……うん」

「それに、オレはいいけど、あんたは……その。女の子、だから」

「ふふっ。そうだね?」


 きっと、九条家みたいに簡単にはいかないだろう。簡単すぎる気が、しなくもないけど。
 花咲家の二人も、アイも。それから朝日向家の人たちだって。オレ以上に、彼女のことを大事に思ってる。それに、こいつだって。離れていた分、空白だった時間を大切にしようとしてる。その邪魔だけは、したくない。


「オレは、いつまでだって待ってるから」


 オレが二十歳になって、この家を譲り受けた時でも。オレが社会人になって、一端に仕事ができるようになった時でも。なんなら五年後でも、十年後でも。もちろん今すぐだっていいけれど。


「そっちの家の条件が呑めた時でいい。したいこと、やりたいこと、いろんなことに片が付いてから。あおいの気持ちの整理が、整ったら……」


 オレと、一緒に暮らしませんか。あおいさん。